【精算所得課税の廃止】 |
平成22年10月1日から法人の解散、破産の時の法人税の取り扱いが変わります。 |
1.従来までの制度の概要
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これまでは法人が解散した場合には、通常の法人税の計算をして、その精算所得の金額に精算所得に対する法人税が課せられていました。
精算所得の金額の計算は、残余財産の価格からその解散時における資本等の金額の額と利益積立金額等との合計額を控除して計算されます。いわゆる「財産法」による所得計算を行うのです。
なお、精算所得に対する法人税の税率は、普通法人については27.1%であり、協同組合等については20.5%の法人税を課することとされます。
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2.本年の改正概要
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本年10月1日以降の解散した法人に対しては、解散後も各事業年度の所得に対する法人税、つまり通常の「損益法」の所得課税を課することとされます。
また、今回の改正では、精算所得課税の廃止に伴う税負担を考慮して、期限切れ欠損金の損金算制度が整備されました。
精算所得課税方式の場合には最終的には残余財産の時価価格次第で確定税額が決まります。したがって残余財産がある場合、精算を行う際に役員退職金を支給したり、多額の交際費支出を行い、残余財産を減らす会社があり、精算所得の計算方式では課税できない矛盾がありました。これらの矛盾を解消するために今回の改正が行われました。
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3.精算中の事業年度における期限切れ欠損金の損金算入
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今回の「財産法」から「損益法」への所得計算方式の変更における重要な点は、今まで精算確定申告の時には見えなかった債務免除益等が顕在化することにあります。債務免除により課税所得が発生することになるので、期限切れの欠損金を使えるようにして、債務免除益等相殺することができるようにするのです。
法人が解散した場合において、残余財産がないと見込まれるときは、その精算中に終了する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額(期限切れ欠損金額)に相当する金額は、青色欠損金等の控除後の所得を限度として、その事業年度の所得に金額の計算上、損金の額に算入されることとなりました。
このような会社で、過年度において資金調達のために仮装経理を行っている場合には、累積の欠損金を真実の状態に戻す必要がありますので注意してください。
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